2014-01-01から1年間の記事一覧

論語と聖書

「論語」子路篇に以下のようなところがある。 葉公孔子に語げて曰く、「吾が党に直躬という者有り。其の父羊を攘みて子之を証せり」 孔子曰く、「吾が党の直き者は、是に異なり。父は子の為に隠し、子は父の為に隠す。直きこと其の中に在り」と。(葉公が孔…

サマセット・モーム「女ごころ」

モームの中編小説。小説だけれども劇にも出来そうな感じ。モームは劇作もしていたのではないだろうか? いわゆる well made play である。小説だと、まさに通俗小説。でも小説というのはこういうものなのだろうと思う。そして、小説の世界をつくるためには階…

今日入手した本

女ごころ (ちくま文庫)作者: W・サマセットモーム,William Somerset Maugham,尾崎寔出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/08/06メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る たまには小説を読んでみようかなと思って。 最初の第1章を読んだだけだが…

最近の朝日新聞

わたくしは従軍慰安婦の問題については、それについて何かいえるほど勉強しているわけではないので、最近の朝日新聞の訂正の記事自体については特に何かいえるほどの見解はもっていない。ただ、朝日新聞というかマスコミ一般についていえることなのかもしれ…

橘玲「(日本人)」(3)

第2章「日本人というというオリエンタリズム」 「日本人」論というはオリエンタリズムであるという話。 オリエンタリズムとは、欧米の学会における東洋研究(サイードの場合は中東)のことである、と橘氏はする。それは客観的・科学的であると西洋の学者た…

今日入手した本

無名の人生 (文春新書)作者: 渡辺京二出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/08/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る ヴァレリイがなぜ書くのかと問われて「弱さから」と答えたという話がある。渡辺氏がこういう本を出すのも「弱さから」…

今日入手した本

お言葉ですが…〈別巻6〉司馬さんの見た中国作者: 高島俊男出版社/メーカー: 連合出版発売日: 2014/06/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 高島氏の本はいろいろと読んでいるが、特に「中国の大盗賊・完全版」が面白かったので、これまた面…

橘玲「(日本人)」(2)

「はじめに」に戻る。 橘氏のいう本書のアイディア:ヒトには共通の本性がある。そうであるなら、「日本人性」とは「私たちから人間の本性を引いたもの」である。「世界価値観調査」というのがある。その2005年の調査で、全82問のなかで、日本が他の国…

今日入手した本

ヨーロッパ思想を読み解く ――何が近代科学を生んだか (ちくま新書)作者: 古田博司出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/08/15メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 偶然、書店で見つけた本。著者は政治思想(特に東アジア方面)の専門家ら…

橘玲「(日本人)」(1)

幻冬舎文庫 2014年8月 2012年に刊行された本の文庫化。 タイトルは日本人を括弧に入れてみるということを意味しているのだそうである。非常に面白いのだけれども、なんだかあまりに話がうますぎるというかクリアカットすぎるという気もする。乱麻を…

福島第一原発見学

機会があって福島第一原発を見学することができた。 昨日、いわき市に泊まり(七夕祭り?とかで大変なにぎわいであった)、朝そこを出て、まず福島第2原子力発電所にいき、そこで説明をきいたあと、第一原発を見学、その後また第2原発に戻り、Jヴィレッジ…

今日入手した本

オーギュスト・コント (ちくま学芸文庫)作者: 清水幾太郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/07/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 「倫理学ノート」を読んで以来、清水氏のことが気になっている。といっても後は「現代思想」くらいし…

今日入手した本

遺伝子と文化選択: 「サル」から「人間」への進化作者: 帯刀益夫出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2014/01/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 同じ著者の「われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、われわれはどこへ行くのか」が面白かっ…

今日入手した本

人類はどこから来て,どこへ行くのか作者: エドワード・O.ウィルソン,Edward O. Wilson,斉藤隆央出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2013/10/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見るヒト、この不思議な生き物はどこから来たのか (ウェッジ選書)…

橘玲「不愉快なことには理由がある」

集英社 2012年 同じ著者の「バカが多いのには理由がある」の2年ほど前に書かれた本で、「バカが多い・・」の背景がこれを読むと理解しやすい。 まず「INTRODUCTION たったひとつの正しい主張ではなく、たくさんの風変わりな意見を」から。 …

今日入手した本

音楽を愛でるサル - なぜヒトだけが愉しめるのか (中公新書)作者: 正高信男出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/07/24メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見る わたくしはなぜ数多ある動物のなかでヒトだけが音楽を楽しむのかということに関…

今日入手した本

サルなりに思い出す事など ―― 神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々作者: ロバート・M・サポルスキー,大沢章子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/05/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る 本日の朝日新聞の朝刊の読書欄で紹介さ…

橘玲「バカが多いのには理由がある」(1)

集英社 2014年6月 きわもののような本かと思ったのだけれど、いろいろと教えられることが多かった。 著者の立場は、構造改革派あるいはグローバル・スタンダード派に近いもののように思われるが、自分はこう思うけれども、そのような言説を唱えたとして…

大貫隆訳・著「グノーシスの神話」

講談社学術文庫 2014年5月 この本は1999年に刊行され、2011年に「岩波人文書セレクション」として復刊されたものが、今回、講談社学術文庫に収められものらしい。ナグ・ハマディ文書・マンダ教・マニ教などの経典から抜粋した文章を収め、それ…

今日入手した本

自然とギリシャ人・科学と人間性 (ちくま学芸文庫)作者: エルヴィンシュレーディンガー,Erwin Schr¨odinger,水谷淳出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/07/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 1950年頃に書かれた本。決定論と自由意…

みたままつり

九段にある病院に見舞いにいって、九段下の駅が若者でごった返しているのでびっくりした。みんな靖国神社のほうへいく。最近の若者の右傾化なのであろうか?とも思ったがどうも変なのは、多くが浴衣をきたりしていて盆踊りかなにかいく若者の雰囲気なのであ…

「新潮」今月号

現在「新潮」に長谷川郁夫氏の「吉田健一」が不定期に連載されている。いずれ本になるのだろうから、その時に読めばいいのだが、見るとついつい買ってしまう。それで、今月号の第12回を見ていたら、わたくしとしてははじめて知ることが書いてあった。吉田…

中沢弘基「生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像」

講談社現代新書 2014年5月 イシコロと蟹は違うものだというのが、わたくしの基本信念で、前者は「モノ」、後者は「生きもの」、「モノ」は物理化学的にすべてが説明できるが、「生きもの」が生きているということ自体は物理化学にすべて説明できるが、…

今日入手した本

背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?作者: ウイリアム・ブロード,ニコラス・ウェイド,牧野賢治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/20メディア: 新書この商品を含むブログ (11件) を見る 絶版になっていた本が、小保方さん事件によって再…

今日入手した本

生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像 (講談社現代新書)作者: 中沢弘基出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/05/16メディア: 新書この商品を含むブログ (27件) を見る まだ100頁ちょっとしか読んでいないが衝撃的な本。 わたくしはまったく存知あげあ…

戸田山和久「哲学入門」(2)

第一章は「意味」と題されている。 それで、「意味とは何か?」といったようなアプローチは間違いで、哲学のやりかたは、このような大きな問いを、そのまま扱うのではなく、まずは問いを小さく分けて具体的にし、それを徹底的に考える。そして、その結果えら…

戸田山和久「哲学入門」(1)

ちくま新書2014年3月 前に「宇宙が始まる前には何があったのか?」の感想で、どうもこの本には理解できないところがあるといったことを書いたところ、この「哲学入門」を読んでみたらというご指摘をいただいた。 それで読んでみたのだが、正直、読むの…

今日入手した本

身体巡礼: ドイツ・オーストリア・チェコ編作者: 養老孟司出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/05/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る 養老さんが「考える人」に連載しているものをまとめたもの。ヨーロッパのお墓などをみてあるく話。…

石川迪夫「考証 福島原子力事故 炉心融解・水素爆発はどう起こったか」(3)

数日前の朝日新聞朝刊に、福島の事故の当時の官房副長官であった福山氏が、住民への避難をきめた過程をかなり正直に語っていた。本書の著者の石川氏は、避難勧告の発令が早すぎた、まだ避難が必要でない時期に早く出しすぎたために不要な混乱を招いたと批判…

今日入手した本

書物の達人 丸谷才一 (集英社新書)作者: 川本三郎,湯川豊,岡野弘彦,鹿島茂,関容子,菅野昭正出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/06/17メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見る まだよく読んでいないけれども(鹿島茂さんのところのみ読んだ)、丸…