2014-01-01から1年間の記事一覧

石川迪夫「考証 福島原子力事故 炉心融解・水素爆発はどう起こったか」(2)

東北から関東にかけては、5つの原子力発電所があり、15器の原子炉が2011年3月11日の時点で設置されていた。 青森の東通発電所は津波の被害をうけなかった。あとの女川、福島第一・第二・東海第二は津波の被害を受けた。女川と福島第二では外部送電…

池澤夏樹 個人編集 日本文学全集

今日の朝刊に「池澤夏樹 個人編集 日本文学全集」の宣伝がでていた。すでに刊行された「池澤夏樹 個人編集 世界文学全集」の姉妹版ということらしい。刊行はまだ先の11月。 全30巻で、12巻までが明治以前、13巻から25巻までが明治以降の作家。26…

石川迪夫「考証 福島原子力事故 炉心融解・水素爆発はどう起こったか」(1)

日本電気協会新聞部 2014年3月 著者は原子力とくにその安全対策や廃炉の専門家。現在80歳くらい。すでに現役は引退していて、今度の福島の事故の解明も後進の仕事で、今さら老兵の出る幕ではないと思っていたが、2012年、福島の事故についての米…

今日入手した本

文学は、たとえばこう読む――「解説」する文学II作者: 関川夏央出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/05/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 副題に「「解説」する文学2」とある。 前の「「解説」する文学」が面白かったので入手した。…

今日入手した本

プーチンと甦るロシア作者: ミヒャエルシュテュルマー,Michael Stuermer,池田嘉郎出版社/メーカー: 白水社発売日: 2009/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (4件) を見る 新聞で紹介されていた本。 冷戦終結後は世界は西欧…

L・クラウス「宇宙が始まる前には何があったのか?」(2)「A Universe from nothing Why there is something rather than nothing 」

「A Universe from Nothing」というのが原著のタイトルで「 Why there is something rather than nothing」というのが副題。著者のクラウスは「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」というのは「2千年以上にわたり、神学者、哲学者、自然哲学者、さら…

L・クラウス「宇宙が始まる前には何があったのか?」(1)「ペーパーバック版へのまえがき」と「はじめに」と「ドーキンスによるあとがき」と「訳者青木薫氏の解説」

文藝春秋2013年11月 こういう量子力学と宇宙論を論じた本を論じる能力をわたくしはまったく欠いている。高校一年までは文学部志望だったが、高一の夏にどうも日本の文学の現状は問題がありそうと思うことがあり、それで医学のほうにいくことに決めた人…

今日入手した本

英国の青年 吉田健一未収録エッセイ (講談社文芸文庫)作者: 吉田健一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/05/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 講談社文芸文庫での吉田健一未収録エッセイの3冊目。編者の島内さんというかたが非常な熱意…

今日入手した本

日本の企業統治と雇用制度のゆくえ―ハイブリッド組織の可能性作者: 宮本光晴出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2014/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 新聞の書評で知った本。宮本氏の本は大分以前に「日本型システムの深淵」を読…

山本勲 黒田祥子「労働時間の経済分析」

日本経済新聞出版社 2014年4月 わたくしが産業医をしていることから読んだもので、そのため長時間労働の健康にあたえる影響という部分を中心に読んだ。したがって、必ずしも全体の論点に目配りしているわけではない。 産業医のかなり大きな仕事に「長時…

今日入手した本

アメリカ的、イギリス的 (河出ブックス)作者: テリーイーグルトン,大橋洋一,吉岡範武出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2014/05/13メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る イーグルトンがアメリカの悪口を書いた本だと思う…

小谷野敦「病む女はなぜ村上春樹を読むか」(1)

ベスト新書 2014年5月 この本は普通に書店で購入したのだが、アマゾンで見るとまだ発売予定となっているし、自著をいつも紹介する小谷野氏のブログでもまだアナウンスされていない。本の発行日も5月20日となっている(購入したのは4月末)。村上春…

今日入手した本

論文捏造 (中公新書ラクレ)作者: 村松秀出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2006/09/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 60回この商品を含むブログ (80件) を見る 本書は2006年の初版。入手したのは2014年4月30日の5版。 最近のいろいろな…

 ソーントン不破直子「戸籍の謎と丸谷才一」(終)

本書は終章に「死すべきものの彼方 ― 四季と写真に関する考察 ―」というのがあるが、わたくしの関心をひく話題は特になかった。 この本がわたくしの興味をひいたのは不破氏が文学にかんする学問に従事するひとでありながら、それでもこういう評論的な本(氏…

 ソーントン不破直子「戸籍の謎と丸谷才一」 第7章 「女ざかり」 第8章「輝く日の宮」 第9章「持ち重りする薔薇の花」

第7章「女ざかり」の副題が「いいかげんな国家のいいかげんな小説」というのである。「「新日報(主人公が勤めている新聞社)」という国家は、体制はちゃんとありそうな立派な、いいかげんな共同体である(p238)」「偉そうなことを論じている豊崎教授…

学会のシンポジウム

今日、学会で、普段ならきかないような話をきいてきた(第100回日本消化器病学会総会「シンポジウム1 消化管幹細胞研究の新たな展望」)。 昨今、幹細胞というのが話題になっていなければきこうとも思わなかったはずである。何しろこちらは予備知識ゼロである…

今日入手した本

武士道ー 侍社会の文化と倫理作者: 笠谷和比古出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2014/02/12メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 笠谷氏は「主君押し込め」などの研究で有名な近世、徳川時代の政治史を専門とする史学者。本…

 「一杯のかけそば」と最近の理研騒動のことなど

何とはなしに堀井憲一郎さんの「若者殺しの時代」を読み返していたら、その最初に「一杯のかけそば」のことが書いてあって、それで最近のいろいろな事件のことが頭に浮かんだ。 「一杯のかけそば」の事件?は1989年つまり平成元年のできごとだから、いま…

今日入手した本

女のいない男たち作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/04/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (124件) を見る どうせいずれ買うだろと思い買ってしまった。 村上春樹の最新短編集。「1Q84 book3」「色彩をもたない・・」と村上氏…

今日入手した本

心の概念作者: ギルバートライル,坂本百大,井上治子,服部裕幸出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1987/11/11メディア: 単行本 クリック: 39回この商品を含むブログ (26件) を見る この本のことを最初に知ったのは、A・ケストラーの「機械の中の幽霊」を読…

 ソーントン不破直子「戸籍の謎と丸谷才一」 第4章 徴兵制のあった国 第5章 「笹まくら」 第6章 「裏声で歌へ君が代」の裏にあるもの

本書のタイトルに「戸籍」があるのは、戸籍のもつ二つの側面(徴発と課税のためという国家からみた側面と、個人にセルフ・アイデンティティをあたえるという私的側面)を本書は考えようとしているからである。不破氏によれば、戸籍制度は東アジアの中華文化…

 ソーントン不破直子「戸籍の謎と丸谷才一」 幕間 外山滋比古「乱読のセレンディピティ」(扶桑社 2014年4月)

外山氏のこの本は偶然書店でみつけたもの。外山氏の本を読むのははじめて。「修辞的残像」という本の名前はきいていたが、読んでいなかった。最近、急に読まれるようになっているということもきいていたが、それでもみていなかった。著者は90歳くらいであ…

今日入手した本

人生の意味とは何か (フィギュール彩)作者: テリーイーグルトン,Terry Eagleton,有泉学宙,高橋公雄,清水英之,松村美佐子出版社/メーカー: 彩流社発売日: 2013/09/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 昨日「宇宙が始まる前には何があったの…

今日入手した本

宇宙が始まる前には何があったのか?作者: ローレンスクラウス,Lawrence M. Krauss,青木薫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/11/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (19件) を見る 少しも理解できないにもかかわらず、この手の本を時々読んでいる。…

今日入手した本

幻影の明治: 名もなき人びとの肖像作者: 渡辺京二出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2014/03/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 山田風太郎、司馬遼太郎、坂口安吾などの明治をあつかった小説などを論じた文を収めたもの。山田風太郎に肯定…

ソーントン不破直子「戸籍の謎と丸谷才一」 第2章「年の残り」 第3章「横しぐれ」から「樹影譚」へ

「年の残り」を読んだのも大分以前であるが、随分と技巧の勝った作品だなという印象しか残っていない。「彼方へ」と同じで登場人物に魅力を感じなかった。どうもインテリがでてくる小説を読めるものとするのには相当な力業がいるように思う。 不破氏は「年の…

ディオバンの問題と日本人間ドック学会の発表

ディオバン製造会社であるノヴァルティス・ファーマ社の社長の交代が報道されている。ディオバンの問題と白血病治療薬の問題によるもので、ドイツ人の新社長が「日本の従業員は他国と比べて医師を優先する傾向がある。患者優先の方向に文化を変えなければな…

今日入手した本

ケンブリッジ帰りの文士 吉田健一作者: 角地幸男出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/03/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 偶然書店で見つけた本。著者については何もしらないが、1948年生まれということだから、ほぼわたくしと同…

小保方さんのことなど

今日から年度がかわったことだし、時々、読書の備忘以外にも書いてみようかと思う。 部外者で本当のことはまったくわからないが、大学の学位論文などのことが問題になりはじめたころは、小保方氏はひょっとして一切実験などはせず、ストーリーだけを作って、…

[読書備忘録 ソーントン不破直子「戸籍の謎と丸谷才一」 第1章「戸籍制度のある国」

丸谷才一氏は「文学のレッスン」・・湯川豊氏を聞き手として「私はこう感じる、どんなもんだい」と滔々と語った本・・ちなみにわたくしはこういう聞き手に語るというスタイルが「持ち重りする薔薇の花」の梶井という財界のお偉方が野原という聞き手に語ると…